2月に始めた「東海三十六不動尊霊場」の旅。 前回は、お寺の温かい人たちとの出会いや、美しい景色に心が癒されたお話を書きました。
ところが旅の終盤、その穏やかな時間を一瞬で吹き飛ばす出来事が起きたのです。 あるお寺で、私は突然、住職から理不尽な言葉で怒鳴られました。
今回は、その衝撃的な体験と、怒りに飲まれそうになった私がどのように心を取り戻したのかについてお話しします。
1. 軽い気持ちで受けた占いと、突然の暴言
あるお寺の寺務所へ納経帳をいただきに向かうと、年老いた住職が占いをされていました。 「何か素敵な説法でも聞けたらいいな」と軽い気持ちでお願いしたのですが、席に座るなり事態は急変します。
私の話を聞く前に「彼氏、欲しいの?」と聞かれ、結婚していること、子どもがいないこと、39歳で結婚したことを伝えた瞬間でした。
「何やっとるんだーーー!!」
お堂全体に響きわたる大声で突然怒鳴られたのです。 「なんで、もっと早く結婚しなかったんだ!」「人の話を最後まで聞け!」と畳みかけられ、そこからは次々と私を貶めるような言葉が飛んできました。
- 「女は歳を取ると子宮がダメになる」
- 「子どもを産まないから人生がつまずく」
- 「芸能人の〇〇は、遅く生んだから子供がろくでなしだ」
- 「旦那とは相性が悪い」
あまりの的外れさと人格を否定する言葉に、私はただ呆然とするしかありませんでした。
2. 反論できなかった理由と、静かな怒り
不妊治療に悩み、涙を流しながら過ごした5年間がありました。 私のそんな背景を何一つ知ろうともせず、一方的に決めつけて暴言を吐き続ける姿に、私の中で静かな怒りがメラメラと湧き上がってきました。
「私の人生を、あなた知らないでしょ!?」と反論したい気持ちでいっぱいでした。
しかし、氏名や生年月日、住所まで渡してしまっていたこと、そして「お寺の住職」という立場に対する圧迫感から、「下手に怒らせたら恐ろしい呪いをかけられるのではないか」という恐怖がリアルに迫り、動けなくなってしまったのです。
怒られて、傷ついて、それでも5,000円のお布施を払う自分。 最後に「旦那さんとは仲いいですけどね!」と一言だけ吐き捨ててお寺を後にしましたが、寺を出ても怒りと虚しさは全く消えませんでした。
3. マインドフルネスと「大吉のおみくじ」が照らした光
車を運転しながら「今の時代に完全な差別発言じゃないか」と感情が渦巻いていました。 日頃からマインドフルネス(今、この瞬間の自分に気づくこと)を実践していたため、怒りに飲まれることは免れましたが、このまま家に帰る気にはなれません。
そこで、心を落ち着かせるために氏神様(神社)へ立ち寄ることにしました。
「どうしてこんなことが起きるのか、教えてください」とお祈りをしながらおみくじを引くと、そこには「大吉」の文字が書かれていました。
おみくじの裏にあった「神様の教」には、こう書かれていたのです。
「他人の言葉や恐れによって心が曇ってしまうと、自分の中にある素晴らしい愛も見えなくなってしまう。だからこそ、日々の『自分への優しさ』で心を丁寧に拭い、本来の自分と繋がり続けなさい」
理不尽な出来事によって暗く傷ついた心に、静かに温かい光が差し込んだ瞬間でした。 第一話で出会った温かい寺男さんの言葉とともに、この「神様のお告げ」が私を絶望の淵から救ってくれたのです。

(第3話へつづきます)

