嫌いだった母を介護して気づいた、本当の愛と親子の絆|親を嫌いから好きになるまでの物語

こんにちは!
ハコミセラピストのいしきじゅんこです。

お盆になると、
母のことを思い出します。

墓前ではなく、
ふしぎと心に浮かぶのは
病院の待合室。

あのひんやりとした空気と、
ざわめきの中で感じた
母の手の温もり。

そこには、
言葉にできない時間が
流れていました。

*****************

ひと月に一度、
私は母の付き添いで
総合病院へ行ってました。

個人病院と違い、
広くて、やや騒がしい。

待合室は
コンクリートでできた
柱と壁。


コロナの影響で椅子には
ひとつ飛びごとに
「✕」と書かれた紙が貼ってあり、
どこか冷たくて
無機質な感じがしました。

高齢者が多く、
待合室は誰かの咳や車椅子の軋む音が
BGMのように混じり合っている。

消毒剤の匂いが漂う。

施設の職員に連れられてやってくるひと。

点滴スタンドを看護師が
補助しながら車いすで待っているひと。

そして、ベッドごと運ばれてくるひと。

どの人も、意志が無いようにみえ、
まるで勝手にここまで運ばれてきたよう。

そんなお年寄りの方たちが
目の前に流れるように現われ、
また、どこかに運ばれていく。

その情景を横に見ながら
私はふと母の横顔を見ながら、
手を握りました。

手はカサカサに乾燥していて、
長く伸びた爪が
私の手の中で
チクリとつき刺ささる。

母は<母親>ではありませんでした。

自分勝手なヒトで、
めんどうだ、
と思ったことは、
正直なところ私にはあったのです。

その思いは数えきれない。

それでも・・・
結局、捨てることはできなかった。

もし、その感覚に名前をつけるなら、
「愛」なのだと思うのです。

「愛」は、
温かくて優しいもので、
心に宿しているものだと
思っていました。

だが、そうではないようなのです。

「愛」は、自分の中に勝手に‥
というのか、
自然に備わっている気がします。

どんなに自分が

「愛」なんて無いわ、

許可をしたくない、

と思っていても、
自然に備わっているのだから
どうしようもないわけです。

それはどんなに嫌な過去があっても、
不思議とその鎖を断ち切ろうとしても
断ち切れなかった私がいたから。

そして、何故か、
母を守らなければ、
という気持ちが勝手に
私の中に存在している。

母の爪はだいぶ伸びていました。

やっぱり、施設では
ここまでのケアは難しんだな

と、ため息まじりに
母の長い爪を見る度に
思ったものです。

だから、
病院の付き添いのときは
爪切りと、
少し値が張るハンドクリームを
持参してました。

バッグの中から
爪切りを取り出し、
一本ずつ指を支えながら
気をつけながら切る。

パチン、パチン。

爪が飛ばないように。
母の指がケガをしないように・・・。

爪切りが終わったら
仕上げにハンドクリームを
塗ってあげます。

自分の手にクリームをとり、
乾燥した母の手を
ひとつ、ひとつ。

水かきのところ、手首まで・・・ 

母が気持ちよくなるよう
ゆっくりと塗っていきます。

するとまた
不思議なことが起きるのです。

私の中に愛おしさがこみあげてくる。

熱い、胸やけのような感覚。

油断すると
理由のない涙が
押し寄せそうになるから、
心にフタをする。

普段、過覚醒な母も、
この時はクリームを塗られる
自分のしわくちゃな手を
じっと見つめながら
黙っていました。

昔のわたしからは
想像できないな。

と、自嘲してしまう。

母の手に
触れることすら
避けていたのに。

それが今、
私は愛おしいと
感じているのだから。

か細い命を、
この手でつなぎ止めていたい
とさえ願っている。

待合室に流れる空気は、
ゆっくりとした川のようで、
時計の針も
ここでは別のリズムを
刻んでいるように感じる。

名前を呼ばれるまでの時間は、
やけに長く、
そして貴重。

母の命が、
いつか終わることは知っている。

その日は、
そんなに遠くないのかもしれない。

でも今は、
目の前にあるこの手の
温もりを確かめていたい。

それは、母のためというより、
私自身のためでしょう。

少しずつ弱っていく母。

私は来月も母の爪切りができるのかな?

そんな考えがよぎると、
また愛おしさと、
せつなさが入り混じり、
胸が絞めつけられる。

この胸の締め付けは、

私は母を愛することができた、

と教えてくれてる。

しばらくすると
診察室のドアが開き、
名前が呼ばれた。

今は、ただ、
この瞬間を母と一緒に。

それしかできないから。

お盆に寄せて
母が生きていた頃の
私の心情を
手繰り寄せたものです。

こんなふうに思えるまで
随分長く時間がかかりました。

潜在意識のラインの画像

お読みくださるあなたの心が
平安でありますように。

では、では。

「変わりたいけど、どうしたらいいかわからない」
「一人ではなかなか難しい」

そんなときは、ぜひ私にお手伝いさせてください。
あなたのペースで進んでいけるよう、心から寄り添いたいと思っています。

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